酸とpHの関係

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酸とpHの関係

1. 全体像と押さえどころ

コーヒーの酸味。一口に「酸っぱい」と言っても、その表現は人によって、そしてコーヒーの種類や抽出方法によって大きく異なります。では、この曖昧な「酸味」を、より客観的に、そして数値で表現するにはどうすれば良いのでしょうか? 答えはpH値です。

pH値は、水素イオン濃度を表す指標で、0~14の範囲で表されます。7を中性とし、7未満が酸性、7より大きいアルカリ性を示します。コーヒーの場合、一般的にpH 4~5程度の弱酸性を示します。 しかし、この数値だけでコーヒーの酸味が完全に把握できるわけではありません。なぜなら、pH値は水素イオン濃度を示すものであり、コーヒーの酸味に寄与する有機酸の種類や量、そしてそれらの相互作用は反映されていないからです。

つまり、pH値は酸味の指標の一つに過ぎず、コーヒーの酸味を完全に理解するには、pH値に加えて、酸の種類や量、そして官能評価(実際に飲んで感じる酸味)も考慮する必要があるということです。 中級者の方にとっては、pH値の測定方法や、それがコーヒーの酸味評価にどのように役立つのかを理解することが重要になります。単なる数値にとらわれず、他の要因との関連性を理解することで、より深くコーヒーの酸味を捉えることができるでしょう。 この章では、コーヒーの酸味とpH値の複雑な関係を理解する上で、つまずきやすいポイントを先回りして解説していきます。特に、pH値が低いからといって必ずしも「強い酸味」とは限らない点や、pH測定の限界、そして官能評価との整合性を意識する重要性を説明します。

pH値と酸味:単純な比例関係ではない

pH値が低いほど酸性度が高いのは事実ですが、コーヒーの酸味強度はpH値だけで決まるわけではありません。コーヒーにはクエン酸、リンゴ酸、カフェ酸など、様々な有機酸が含まれており、それぞれの酸の強さや種類、そしてそれらのバランスが、最終的に私たちが感じる酸味に影響を与えます。例えば、pH値が同じでも、クエン酸が多く含まれるコーヒーと、リンゴ酸が多く含まれるコーヒーでは、酸味の質や強さが異なる場合があります。

pH測定の限界

pH測定器を用いても、コーヒー全体の酸味を正確に反映しているとは限りません。測定箇所、抽出方法、コーヒー豆の種類、焙煎度など、様々な要素が測定値に影響を与えるため、数値はあくまで一つの指標として捉えるべきです。

官能評価との統合

最終的には、私たちの舌で感じる「酸味」こそが最も重要な指標です。pH値はあくまで客観的なデータであり、それを踏まえた上で、自分の舌で確認し、官能評価と組み合わせることで、より正確な酸味の理解に繋がります。

2. 手順・数値・コツ

コーヒーのpH値を測定するには、pHメーターが必要です。家庭で簡単に測定できる簡易型のpHメーターから、より精度の高いプロ用のpHメーターまで様々な種類があります。 ここでは、家庭で簡単にpH値を測定する方法と、その際に注意すべき点について解説します。

pH測定手順

1. コーヒー抽出: お好みの方法でコーヒーを抽出します。抽出液の温度は、測定に影響するため、冷ます必要があります。
2. 冷却: 抽出液を室温(約25℃)まで冷まします。高温のコーヒーでは正確な測定ができません。
3. 校正: pHメーターを標準液(pH 4.01とpH 7.00が一般的)で校正します。これは正確な測定を行うために非常に重要です。手順は使用するpHメーターによって異なりますので、取扱説明書をよく読んでください。
4. 測定: 校正済みのpHメーターをコーヒー抽出液に浸し、表示されるpH値を読み取ります。複数の場所で測定し、平均値をとることで精度を高めることができます。
5. 記録: 測定したpH値、コーヒー豆の種類、焙煎度、抽出方法などを記録しておきましょう。

数値の目安とコツ

下記の表は、様々なコーヒー豆の種類と抽出方法におけるpH値の目安です。あくまでも目安であり、コーヒー豆の種類、焙煎度、抽出方法によって大きく変動します。

コーヒー豆の種類 焙煎度 抽出方法 pH値の目安 酸味の傾向
アラビカ 浅煎り ハンドドリップ 4.5~5.0 明るく爽やかな酸味
アラビカ 中煎り ハンドドリップ 4.8~5.2 バランスの良い酸味
アラビカ 深煎り ハンドドリップ 5.0~5.5 穏やかな酸味
ロブスタ 中煎り エスプレッソ 4.7~5.1 力強い酸味
ブレンド 中煎り フレンチプレス 4.9~5.3 複雑な酸味

失敗例と原因・対処法

  • pH値が安定しない: pHメーターの校正が不十分、またはコーヒー液の温度が安定していない可能性があります。再度校正し、コーヒー液を室温まで冷ましてから測定しましょう。
  • 測定値が極端に低いまたは高い: pHメーターの故障、またはコーヒー液の汚れの可能性があります。pHメーターの校正を確認し、コーヒー液を新しいものに取り換えて測定しましょう。
  • 測定値にばらつきがある: 測定場所や方法にばらつきがある可能性があります。複数の場所で測定し、平均値をとることで精度を高めましょう。

3. よくある疑問

Q1. 家庭でpH測定をする際に、pHメーター以外の方法で酸度を測ることはできますか?

A1. 正確な数値を得るにはpHメーターが必須ですが、簡易的なチェックとして、リトマス試験紙を使用できます。ただし、正確なpH値は測定できないため、あくまで目安として利用しましょう。

Q2. pH値が低いコーヒーは必ずしも酸味が強いとは限らないのはなぜですか?

A2. pH値は水素イオン濃度を表すものであり、コーヒーに含まれる様々な有機酸の種類や量、そしてそれらの相互作用は考慮されていません。酸の種類やバランスが、最終的な酸味の感じ方に大きく影響するためです。

Q3. pH値を測定する上で、コーヒー豆の種類や焙煎度がどのように影響しますか?

A3. コーヒー豆の種類や焙煎度によって、含まれる有機酸の種類や量が変化します。例えば、浅煎りのアラビカ豆は、深煎りよりも多くの有機酸を含み、pH値も低くなる傾向があります。焙煎度が高くなるにつれて、pH値は上昇する傾向があります。 また、ロブスタ豆はアラビカ豆よりも酸味が強い傾向があり、pH値にも影響を与えます。

カテゴリー:コーヒー基礎知識