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焙煎曲線の記録方法
1. 全体像と押さえどころ
焙煎は、生豆の水分を飛ばし、風味成分を最大限に引き出す繊細な作業です。その過程を正確に把握するために、焙煎曲線の記録は欠かせません。焙煎曲線とは、焙煎時間と豆の温度、あるいは焙煎時間と排気温度の関係をグラフにしたものです。これにより、同じ豆を同じように焙煎する再現性を高め、理想の焙煎度合いに近づけることができます。
中級者の方にとって、焙煎曲線の記録は、より深い焙煎の理解へと繋がる重要なステップです。しかし、温度計の種類やグラフ作成ソフトの使いこなし、そして何よりもデータの正確な読み解きに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この章では、焙煎曲線の全体像を掴み、記録において特に重要なポイントを明確にします。まず、焙煎曲線は単なる温度変化の記録ではなく、焙煎のプロセス全体を可視化するためのツールであることを理解しましょう。グラフの傾き、各段階の温度、そして時間といった要素全てが、豆の状態や風味に影響を与えています。
例えば、第一煎裂(ファーストクラックス)の温度や時間は、焙煎度合いの重要な指標となります。また、焙煎後冷却の速度も、豆の風味に影響を与えます。これらの要素を正確に記録し、分析することで、自身の焙煎スキル向上に役立てることができます。
さらに、記録するデータの種類と精度も重要です。正確な温度測定には、高精度な温度計が必須です。また、グラフ作成には専用のソフトやアプリを活用することで、より効率的にデータ管理や分析を行うことができます。
この章で解説する内容を理解することで、より正確で詳細な焙煎曲線の記録、そしてそのデータからの学びへと繋がります。次の章では、具体的な手順とコツを解説します。
2. 手順・数値・コツ
焙煎曲線の記録は、以下の手順で行います。ここでは、家庭用焙煎機を使用する場合を想定しています。使用する機器によって、手順や数値に多少の違いが生じる場合がありますので、ご注意ください。
2-1. 準備
* 温度計の準備:高精度なデジタル温度計を用意します。豆の内部温度と排気温度を測定できるものが理想的です。サーモカップルの使用が推奨されますが、家庭用であれば、正確な測定ができるタイプのデジタル温度計で代用可能です。
* グラフ作成ツールの準備:エクセルなどの表計算ソフトや、専用の焙煎ログアプリを使用します。後述する項目を記録できるよう、予めグラフを作成しておくと便利です。
* 焙煎機の準備:焙煎機を適切に予熱します。機種によって予熱時間は異なりますので、取扱説明書をよく読んでください。
* 生豆の準備:焙煎する生豆の品種、産地、焙煎前の水分量などを記録しておきます。これは、後から焙煎結果を分析する際に役立ちます。焙煎する豆の量も記録しましょう。(例: 100g)
* タイマーの準備:正確な時間を計測できるタイマーを用意します。
2-2. 焙煎とデータ記録
以下の表は、100gの生豆を焙煎する場合の目安です。豆の種類や焙煎機によって、数値は大きく変動します。
| 時間(分) | 豆の内部温度(℃) | 排気温度(℃) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 0 | 室温 | – | 焙煎開始 |
| 1 | 80 | 150 | 乾燥期開始 |
| 2 | 100 | 180 | 乾燥が進み、豆の水分が減少 |
| 3 | 120 | 200 | |
| 4 | 140 | 220 | |
| 5 | 160 | 240 | |
| 6 | 180 | 260 | 発芽期開始 |
| 7 | 190-200 | 280-290 | 第一煎裂(ファーストクラックス)開始 |
| 8 | 200-210 | 300-310 | 第一煎裂継続 |
| 9 | 210-220 | 320-330 | 第一煎裂終了間近 |
| 10 | 220-230 | 340-350 | 第二煎裂(セカンドクラックス)間近 |
| 11 | 230-240 | 360-370 | 第二煎裂開始 |
| 12 | 240-250 | 380-390 | 第二煎裂継続、焙煎終了近し |
| 13 | 250 | 400 | 焙煎終了、冷却開始 |
| 14 | 200 | – | 冷却終了 |
上記の表はあくまで目安であり、豆の種類や焙煎機の種類、焙煎度合いの目標によって、数値は大きく変化します。 常に豆の香りと色を確認しながら、焙煎を進めることが重要です。 また、排気温度と豆の内部温度の差にも注目し、適切な焙煎プロファイルを作成しましょう。
2-3. グラフ化と分析
記録したデータをグラフ化します。横軸に焙煎時間、縦軸に豆の内部温度と排気温度をプロットします。これにより、視覚的に焙煎のプロセスを確認することができます。
グラフを作成することで、第一煎裂と第二煎裂のタイミング、焙煎全体の時間、温度変化の速度などが明確になります。これらの情報をもとに、次回の焙煎にフィードバックを行い、より理想的な焙煎を目指しましょう。
2-4. 失敗例と原因・対処法
* 失敗例1:豆が焦げた
* 原因:焙煎時間が長すぎる、温度が高すぎる。
* 対処法:焙煎時間を短縮する、温度を下げる。 焙煎機の温度制御に注意しましょう。
* 失敗例2:豆が十分に焙煎されていない
* 原因:焙煎時間が短い、温度が低い。
* 対処法:焙煎時間を長くする、温度を上げる。 豆の内部温度を正確に測定することが重要です。
* 失敗例3:焙煎度合いが毎回異なる
* 原因:生豆の水分量の違い、焙煎機の温度変化、焙煎時間のコントロール不足。
* 対処法:生豆の水分量を均一にする、焙煎機を定期的にメンテナンスする、焙煎時間を正確に計測する、焙煎曲線を記録し、分析する。 特に、記録と分析が重要になります。
3. よくある疑問
Q1. 家庭用焙煎機で正確な焙煎曲線を描くことは可能ですか?
A1. 完全にプロ用のロースター並みの精度は難しいかもしれませんが、高精度なデジタル温度計と工夫次第で十分に正確な焙煎曲線を描くことができます。豆の内部温度測定は難しいですが、排気温度と時間を中心に記録することで、ある程度の傾向は把握できます。
Q2. どんなグラフ作成ツールを使えば良いですか?
A2. エクセルなどの表計算ソフトでも十分ですが、専用の焙煎ログアプリを使用すると、より効率的にデータ管理や分析ができます。多くのアプリが無料または低価格で利用可能ですので、いくつか試してみて自分に合ったものを見つけることをお勧めします。
Q3. 焙煎曲線の記録は、毎回必ず行うべきですか?
A3. 始めたばかりの頃は、毎回記録することをお勧めします。何度も繰り返すことで、自分の焙煎機や豆の特徴を把握し、理想の焙煎プロファイルを作成することができます。ある程度慣れてきたら、記録する頻度を調整しても良いでしょう。しかし、新しい豆を焙煎する際には必ず記録することをお勧めします。
カテゴリー:焙煎の基礎知識

